平成21年度日本コンクリート工学協会北海道支部優秀学生賞の表彰

平成22年5月11日に行われた北海道支部総会の会場で、昨年度の優秀学生賞について報告がされました。 優秀学生賞授賞審査委員会委員長の杉山雅氏から選考経過・審査方法について説明があり、表彰理由が紹介されました。 受賞者には表彰状と賞品,および,副賞としてJCI会員資格1年分が授与されております。

平成21年度JCI北海道支部優秀学生賞授賞審査委員会
委員長 杉山雅

選考経過

平成21年度JCI北海道支部優秀学生賞として修士論文2編の応募があった。
平成22年2月12日に応募を締切り、2月13日に審査方法の確認を行い、2月25日に審査委員5名の審査結果を集計し、2月26日に平成21年度JCI北海道支部優秀学生賞授賞審査委員会を開催(E-mailを利用)して、以下の受賞者を決定した。

選考方法

選考方法は,例年と同様の方法である。

  1. JCI「コンクリート工学年次論文集」論文審査要領の採否の判定基準に準じる。即ち、@「新規・独創性」、A「発展性」、B「有用性・実用性」、C「完成度(卒論は理解度)」、D「成果・現象解明」の5項目について、提出された論文を評価する。評価は、各項目を3段階で評価し(「評価せず:0点」,「良い: 1点」,「大変良い: 2点」)、合計点を評価点とする。
  2. 委員5名全員による評価点の合計が30点以上(審査員の合計点数は50点満点)の論文を対象とする。ただし、対象論文が多数の場合には上位3位までとする。

優秀学生賞受賞者

委員会にて慎重に審査の結果、優秀学生賞として次の1人に決定した。

1. 乾燥を受けた高強度コンクリートの凍害メカニズムの検討
中野 佑樹  なかの ゆうき (北大大学院修士課程修了) 推薦者 千歩 修

決定理由

1.乾燥を受けた高強度コンクリートの凍害メカニズムの検討

(理由)

本研究は、non-AE高強度コンクリートが軽微な乾燥または乾湿繰返しを受けて耐凍害性が大きく低下するメカニズムについて検討している。non-AE高強度コンクリートは、水中養生直後に凍結融解試験を行うと高い耐凍害性を示すが、軽微な乾燥等の後に同じ凍結融解試験を行うと耐凍害性が大きく低下することがある。このような背景から、寒冷地のおいてはnon-AE高強度コンクリートの耐凍害性の低下の原因を探ることは大変重要である。
本研究は、軽微な乾燥または乾湿繰返しがコンクリートの耐凍害性におよぼす影響について、主に凍結融解試験開始時の試験体内部の含水率分布、及びコンクリート内部で起こる凍結融解時の水分移動に着目し、乾湿繰返し条件及び凍結融解時の水分保持条件を変えて凍結融解試験を行い、試験体内部の含水状態と耐凍害性の関係について検討している。検討の結果、non-AE高強度コンクリートは、含水率の分布が生じることにより凍結融解時に水分移動が生じ、劣化が発生する挙動を明らかにした。
当該論文は、多くの実験データから緻密に試験結果を分析して結論を導いており、今後の学術的展開が期待される。
以上より,平成21年度JCI北海道支部優秀学生賞として決定する。


表彰

 表彰状等は受賞者の推薦者へ送付し,学位記授与式に合わせて受賞者へ授与していただいた。表彰では,賞状の他,賞品として5,000円の図書カード,副賞としてJCI正会員1年分の資格を与えた。なお,受賞者は,平成22年4月8日開催の役員会に報告し了承され,本日ここにご報告するものです。

JCI北海道支部優秀学生賞授賞審査委員会
委員長 北海学園大学 杉山  雅
委 員 北海道工業大学 今野 克幸
委 員 室蘭工業大学 濱  幸雄
委 員 北海道大学 北野  敦則
委 員 寒地土木研究所 田口  史雄